介護施設でSNSを運営するメリットは?成果を出す運用のコツと成功事例5選を紹介

SNSは、介護施設にとって集客・採用・信頼構築の3つを支える重要なツールです。情報収集の主流がSNSに移るなか、施設選びにおいてもSNSが大きな影響を与えています。

利用者やその家族が施設の雰囲気や方針を知るために、InstagramやFacebookなどのSNSを活用するケースも珍しくありません。また、求職者にとってもSNS上での情報発信は、職場選びの重要な判断材料になります。

つまり、SNSの活用は介護施設の経営戦略に直結するほどの役割を担っており、軽視できるものではありません。効果を出すには、目的やターゲットを明確にし、継続的かつ戦略的に運用することが求められます。

本記事は、介護施設のSNS担当者が効果的な活用法を理解し成果へ繋げる戦略を解説します。

目次

介護施設がSNS活用をするメリット

まずは、介護施設がSNS活用をするメリットを紹介します。SNSは、介護施設の価値や雰囲気を広く発信できる強力なツールです。集客・採用・信頼構築など、目的別に活用することで施設経営に貢献します。

集客ができる

SNSを活用して施設の雰囲気や日常を視覚的に伝えることで、入居希望者やその家族に安心感を与えられる有効な集客手段です。文字では伝えきれない温もりや現場の空気感を届けることで、利用者に対する理解と関心を高めるきっかけにもなります。

写真や動画を通じた発信は、施設の魅力を自然な形で伝えることができ、問い合わせや見学希望の増加に繋がります

採用につながる

介護施設は慢性的な人材不足に悩まされていますが、SNSは採用面でも強力な武器になります。職場の雰囲気ややりがい、働くスタッフの声を伝えることで、求職者との距離が縮まり、エントリーに繋がりやすくなります。

求人広告では伝えきれない現場のリアルな姿を可視化することができます。価値観や理念に共感した人材との接点が増え、結果的に定着率の向上にもつながります。

 家族が施設の雰囲気を確認できる

家族にとって、SNSで施設の日常や利用者の様子を知ることは、大きな安心感をもたらします。特に遠方に住む家族にとっては、頻繁に訪問できない状況でもSNSで日々の様子が確認できることが心の支えになるでしょう。

SNSを通じた定期的な発信は、施設の誠実さや透明性を印象づけ、信頼される運営体制を築くきっかけとなり、ご家族との関係性の深化にも役立ちます。

介護施設がSNS運用の際に意識するポイント

明確な戦略と継続的な工夫が、成果を生むSNS運用の鍵となります。ここでは、5つのポイントに絞って解説します。

  • 運用の目的を定める
  • ターゲットを明確にする
  • ベンチマークとなるアカウントを探す
  • 担当者を決める
  • 肖像権・プライバシーを確認する

運用の目的を定める

何のために行うのか、明確な目的を設定することがSNS運用の第一歩です。例えば、「採用につなげたい」「施設の集客を行いたい」といったゴールを設定することで、投稿内容の方向性がぶれなくなります。

たとえば、採用を目的とするなら「スタッフの1日」や「新人インタビュー」など、実際の職場の雰囲気やチームの空気が伝わる投稿が効果的です。

一方で、集客を目的とする場合は「食事の風景」「レクリエーション」「利用者との交流の様子」など、施設での生活がいきいきと伝わる投稿が向いています。家族が安心できる情報を届けることで、見学や問い合わせにつながりやすくなります

ターゲットを明確にする

次に、どのようなユーザーに情報を届けたいのか、ターゲット層を明確にします。例えば、入居者の家族に施設の様子を伝えたいのか、若手の求職者に職場の魅力を訴求したいのかによって、内容も発信の方法も大きく変わります。

ターゲット像は、年齢、性別、居住地、興味関心、ライフスタイルなど、具体的な属性を設定することで、効率的なリーチができるようになります

ベンチマークとなるアカウントを探す

他施設の成功しているSNSアカウントを分析し、自施設の運用改善に役立てましょう。成功アカウントのコンテンツテーマや投稿頻度から、実践的な学びが得られます。自施設の目的やターゲット層に近いアカウントを選び、その戦略を分析することが重要です。

ベンチマークとなるアカウントを探す際には、関連キーワードやハッシュタグを用いて実際に検索したり、競合他社のアカウントのフォローリストを確認する方法がおすすめです。

また、ベンチマークを単に模倣するのではなく、自施設のブランドに合わせて応用することが大切です。施設ごとの文化を踏まえ、特定の投稿が効果的な理由を把握し、自施設の価値観にどう活かせるかを検討しましょう。

担当者を決める

継続的な運用を行う上で、専任または兼任の担当者を定めることが重要です。担当者を明確にすることで、投稿内容のチェック体制を確立し、綿密なスケジュール管理を実行可能となります。

肖像権・プライバシーを確認する

介護施設のSNS運用では、利用者、家族、職員の肖像権とプライバシーを確認しなければなりません。個人を特定できる情報を本人の明確な同意なしに公開することは、法的トラブルを招きます。

必ず、SNSに投稿する写真や動画の撮影・掲載前には本人の同意をとりましょう

介護施設のSNS活用の成功事例

介護施設がSNSを運用することで、集客や採用など成功した事例が増えています。ここでは、特に成功が目立つ介護施設のSNS活用例を紹介します。

特別養護老人ホームいちご

特別養護老人ホームいちごでは利用者の笑顔や季節行事を写真・動画で賑やかに紹介し、職員の前向きな姿勢と介護の楽しさを発信しています。

この方針でSNSを運用し、約2.1万人のフォロワーを獲得。入居者が職員の髪を整える動画は約110万回再生されるなど大きな注目を集めました。

その結果、インスタ経由で施設を知る人が増え、見学希望者や遠方からの求人応募も増加している実績があります。

特別養護老人ホームそらの木

特別養護老人ホームそらの木では、入居者のレクリエーションや工作の様子など、入所者の日常を穏やかな写真で紹介しています。

一日複数投稿行うなど他施設と比べて投稿頻度が高く、日常エピソードを丁寧に伝える点がそらの木の特色です。施設のほのぼのとした日常をこまめに配信することで、継続的なユーザーの獲得が期待できます。

SNSの運用を検討している施設は、まずは1日1回程度の投稿を目安に始めるのが現実的です。慣れてきたら、最大3投稿までを目処に投稿を行いましょう。

リハてらす越谷

リハてらす越谷はリハビリ特化型デイサービスで、主にケアマネジャーへの情報発信を目的にInstagramを活用しています。

脳トレのエクササイズやゲームに取り組む利用者の様子を短いリール動画で紹介し、各投稿が多くの「いいね!」を獲得し、フォロワーは約2.9万人に達しました。

「この施設ではどのような訓練が行われているのか」「利用者がどのように過ごしているのか」といったリアルな情報を伝えており、ケアマネジャーへの営業資料としても活用されています。

介護老人福祉施設やまゆりの里

介護老人福祉施設やまゆりの里は「夢を叶える介護」をコンセプトに、職員手作りのサプライズイベントやショー動画で注目を集めています。他のアカウントにはない高い企画力が特徴の施設です。

例えば、利用者のために職員が企画したサプライズ結婚式の映像を公開すると暖かいコメントが殺到し、フォロワー数が急増しました。Instagramフォロワーが14.6万人を超え、全国ニュース番組でも「夜のキャバレー遊び」など独自企画が取り上げられています。

あなぶきの介護

あなぶきの介護では、入居者の日常やスタッフとの会話を30秒動画として投稿しています。夫婦の会話や、大好物の食べ物を提供したときの会話など、施設の雰囲気をそのまま発信しているのが特徴です。

開始8ヵ月でフォロワー約4千人、総リーチ206万人を達成する急成長ぶりで、動画配信は多くの共感を呼び、視聴者から「介護士になりたい」といった若年層のコメントも寄せられています。

現場スタッフが主体となって編集する温かいリアル動画と、定期的なインスタライブでの職員紹介を組み合わせた発信が好評で、SNSを通じた人材採用・広報も成功しています

SNS活用が失敗する介護施設の特徴

SNSを始めてみたものの、思うように反響を得られずに頓挫してしまう介護施設も少なくありません。失敗する介護施設のSNS運用には共通した特徴があります

ターゲットのニーズに応えられていない

投稿内容が一方通行で、見る人の関心やニーズを無視していると、SNSはなかなか見られません。情報発信は「自分が伝えたいこと」ではなく、「見る人が知りたいこと」を軸にする必要があります。

たとえば、専門用語が多く、内容を理解しづらい投稿は、閲覧する人が限られてしまい、伸びづらくなります。集客や採用を目的とする場合は、誰にでもわかりやすい投稿を心がけましょう。

また、コメントへの返信や質問への対応を通じて、双方向の関係づくりを意識することも効果的です。ユーザーとコミュニケーションを測ることで、ニーズがよりイメージしやすくなります

継続的な運用ができていない

投稿頻度が低いアカウントからはユーザーが離れてしまう傾向があります。効果的な運用を実現するには、週に3回程度の継続的な投稿を行うことが重要です。

週3回の投稿を1ヵ月程度続けると、アカウントへのアクセス数やフォロワー数に変化が見え始めることが多いです。さらに、3ヵ月以上の継続になれば、「毎週投稿している安心感」や「施設の雰囲気がわかる信頼性」になって、見学希望や問い合わせも増えるでしょう。

現場、継続的な運用ができていない場合は、「担当者を定める」「SNS運用会社に委託する」といった改善策があげられます。

株式会社シュビヒロでは、企業様のSNSを運用することが可能です。ご相談したいことがございましたら、フォームよりお問合せください。

内輪ネタに終始している

施設内で盛り上がっている内容でも、外部の人には伝わりにくいケースがあります。SNSはあくまで「外向き」のメディアであることを忘れず、第三者視点で内容をチェックすることが大切です。

たとえば、職員の楽しそうな様子だけを何度も投稿してしまうアカウントは大きな反響を得られづらいです。「仲間内の盛り上がり」ばかりが目立ってしまい、「見る人が知りたいこと」が備わっていません

「誰にでも伝わる内容であるか」「広く伝える価値のある話題か」どうかを意識して発信しましょう。

SNS運用代行という選択肢も

SNS運用に手が回らない、あるいは専門知識が足りないと感じたときには、SNS運用代行会社に委託するという選択肢もあります。代行サービスをうまく活用することで、効率的な発信が可能になります。

運用代行を活用するメリット

 SNS代行業者を活用することで、専門知識や最新トレンドを取り入れた発信が可能になります。企画から投稿管理、効果分析まで一括して任せられるため、内部スタッフの負担が大きく軽減されます。結果的に、運用の質と安定性が高まりやすくなります。

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運用代行の選び方

 SNS運用代行を選ぶ際には、介護業界の実績があるか、施設の価値観やトーンに寄り添った運用ができるかを重視しましょう。

実際の投稿例や提案資料を見て、期待に沿ったサービスであるかを確認することが大切です。定期的な打ち合わせやレポートの提供など、連携体制も事前にチェックしておくと安心です。

導入時の注意点と準備

 SNS運用代行を導入する際は、いきなりすべてを外注せず、段階的に任せるのがポイントです。まずは投稿テーマの共有や写真の提供など、一部の作業を依頼する形で始めるとスムーズに連携が取れます。

また、投稿ルールや施設の方針を明文化しておくことで、トラブルやイメージの食い違いを防ぐことができます。スタート時は綿密な打ち合わせを重ね、運用目的や成果のイメージを共有しておくことが成功の鍵となります。

まとめ

介護施設にとって、SNSは単なる広報手段ではなく、施設の理念や魅力を伝える大切なコミュニケーションツールです。目的を明確にし、ターゲットを意識した情報発信を継続することで、集客や採用、信頼関係の構築に繋がっていきます

リスクに配慮しながらも前向きに取り組む姿勢が、SNS活用の成果を最大化させる鍵となるでしょう。まずは小さな一歩から始めて、施設の魅力を届ける取り組みを継続していきましょう

株式会社シュビヒロでは、企業様のSNSを運用することが可能です。ご相談したいことがございましたら、フォームよりお問合せください。

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監修者

Z世代を中心としたWebコンサル会社を経営|教育業、フリーエンジニア、有名社長の元秘書|Web施策を守備範囲広く対応するため、株式会社シュビヒロを設立

執筆者

shubihiro
Z世代を中心としたWebコンサル会社を経営|教育業、フリーエンジニア、有名社長の元秘書|Web施策を守備範囲広く対応するため、株式会社シュビヒロを設立

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